アスレティックトレーナーと日本の現状

あなたは、「アスレティックトレーナー」、または「スポーツトレーナー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか？

スポーツに興味のある方であれば、一度くらいは耳にしたことがあるはずです。

今回は、この「アスレティックトレーナー」についてお話をしたいと思います。

スポーツ大国アメリカでは「アスレティックトレーナー」という職種が社会的に１つの資格として成り立っています。

そしてそのアスレティックトレーナーというスポーツ医療のスペシャリスト（アメリカでは医療資格の一つ）の存在は、スポーツ大国アメリカを根本から支えている要因の一つといっても過言ではないでしょう。

アスレティックトレーナーは、医療の現場とスポーツの現場を結ぶ重要な役割として広く社会に認知されています。

NBAやメジャーリーグなどのプロスポーツは当然のことながら、大学や高校などの各種教育機関や地域スポーツの場にまでアスレティックトレーナーは広く存在しています。

一方日本に眼を移してみると、その必要性は叫ばれていましたが、アメリカのように公的な資格としては長い間存在していませんでした。

ところがそんな状況の中、（財）日本体育協会は日本でのトレーナー制度を確立しようと、平成6年より（財）日本体育協会の養成事業として公認アスレティックトレーナー制度を発足させたのです。

それまでの日本におけるトレーナーは、何らかの医療資格を持った人々が中心となり、それぞれのバックグラウンドを背景に活動を行っていました。

それゆえこの制度によって、もともとさまざまな資格や立場が混在し、レベル差が大きい日本の「トレーナー」に一定の基準が定められるようになったのです。

それは日本のアスレティックトレーナー界にとって、画期的な出来事でした。


そんな日本におけるアスレティックトレーナーですが、社会的な認知度はまだまだ低いといわざるを得ません。

それでも最近は、以前に比べると大分違ってきたような気がします。

しかし名前ばかり認知され、実際にアスレティックトレーナーはどういう事をする職業なのかはまだよく理解されていないようです。

あなたも恐らくアスレティックトレーナーと聞いて連想するのは、

「スポーツ選手のケガを治す人」
「スポーツ選手の治療をする人」

くらいではないでしょうか？

もちろんそれは間違いではありません。

しかし正解とも言えないのが本当のところです。

このような認識を与えている背景には、先の資格制度の問題もありますが、もう一つ大きな理由があります。

それは日本のトレーナーの歴史が、何らかの医療資格を有した人たちによって、治療を中心とした活動を行ってきたことにあるのではないかと思われます。

そのような背景から

アスレティックトレーナー＝スポーツ選手の治療をする人

的な発想に繋がっていったのでしょう。

もちろんアスレティックトレーナーの役割の中には、「ケガの治療」も存在します。

ところが実際にはアスレティックトレーナーの役割は「ケガの治療」だけに留まらず、実にスポーツ全般にわたって幅広いのです。

（財）日本体育協会が定義するアスレティックトレーナーの役割にはこう謳ってあります。

「スポーツドクター及びコーチとの緊密な協力のもとに、競技者の健康管理、傷害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、アスレティックリハビリテーション及びトレーニング、コンディショニング等にあたる。」

このようにあらゆる側面から、トータルにスポーツ選手をサポートすることができるのがアスレティックトレーナーなのです。

決してスポーツ選手のケガを治す人がアスレティックトレーナーではないのです。

そしてこの（財）日本体育協会公認アスレティックトレーナーは資格発足から１０数年を経た現在でもわずか８７９名（平成18年10月30日現在）しかおりません。

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かと言って受講者が少ないかというとそうではなく、アスレティックトレーナー希望者は、年々増加の一途を辿っています。

しかし試験合格率が１０％以下という厳しい現状の中でこのような人数になっているのです。

これは（財）日本体育協会が、

「質の高いアスレティックトレーナーの輩出を試みている」

表れであるといえるのではないでしょうか？

私もこの資格を持っていますが、いつも思うのは

「日本のスポーツ人口に対し、アスレティックトレーナーの絶対数が全然足りない...」

ということです。

世界の檜舞台で日本人選手が活躍するためには、今後もっともっとこの（財）日本体育協会公認アスレティックトレーナーが増えていく必要があります。

私も頑張らなければいけませんね（笑）。

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